
外傷
外傷
肉離れは、急なダッシュやジャンプ、ストップ動作などにより筋肉に強い負荷がかかり、筋繊維が部分的に断裂することで起こります。準備運動不足や筋力のアンバランスも原因となります。
突然の鋭い痛みが走り、患部に腫れや内出血、へこみが見られることもあります。動かすことで痛みが増し、歩行困難になる場合もあります。
肉離れと思いきや、疲労骨折や隠れた骨折であることもあります。また、腱の付着部で骨が割れていることがあるためレントゲンで骨の確認を行います。筋肉はエコーで見るのが状況が一番よくわかります。MRIでははっきりわからない小さな出血や実際の筋肉の動きなどがエコーでわかる時があります。逆に、筋肉全体を観察するときにはMRIの方が有利なことがあります。
初期は安静・冷却・圧迫・挙上(RICE処置)が基本です。初期は内出血をいかに抑えるかと、筋肉をそれ以上痛めないことが重要です。冷却や圧迫することで出血や腫れを抑えます。また、患部を心臓より高く拳上することで、血液の循環が良くなり、腫れや痛みを和らげる効果があります。
重症度 | 損傷の程度 | 症状 | 機能障害 | 治療期間 |
---|---|---|---|---|
I(軽度) | 筋繊維の微細損傷 | 軽度の痛み、 筋力の低下はほとんどない |
痛みはあるが、 日常生活動作に支障なし |
数日~1週間程度 |
II(中等度) | 部分的な筋断裂 | 中等度の痛みと腫脹、 筋力の低下あり |
歩行や運動に支障あり | 数週間(3~8週間) |
III(重度) | 完全断裂 (筋が大きく断裂) |
出血、筋力の著しい低下 または完全な喪失 |
歩行困難または不能 | 手術が必要な場合も |
筋肉痛は、慣れない運動や過度な運動により筋繊維に微細な損傷が起こり、炎症が生じることで発生します。特に運動後1~2日で痛みが現れる「遅発性筋肉痛」が一般的です。
運動した部位に鈍い痛みや重だるさを感じ、押すと痛んだり、動かしづらくなったりします。通常は数日以内に自然に回復します。
軽度であれば安静やストレッチ、温熱療法が有効です。無理をせず、徐々に運動強度を上げることで予防にもつながります。通常の痛み止めの他にアスリートの筋肉痛によいとされる漢方薬もあります。漢方であるため年齢を問わず使用可能です。痛みが長引く場合は他の疾患の可能性もあるため受診をおすすめします。
腱の断裂は、スポーツや転倒などで急激な力が加わった際に発生します。アキレス腱や肩の腱(腱板)などが断裂しやすく、加齢や慢性的な使いすぎもリスクとなります。
突然「ブチッ」という音や感覚とともに強い痛みが走り、力が入らなくなります。患部に腫れやへこみが現れ、動かしづらくなるのが特徴です。
疲労骨折や隠れた骨折であることもありったり、腱の付着部で骨が割れていることがあるためレントゲンで骨の確認を行います。腱はエコーで見るのが状況が一番よくわかります。MRIでははっきりわからない小さな出血や実際の腱の動きなどがエコーでわかります。
部分断裂の場合は装具による固定やリハビリで回復することもありますが、完全断裂では手術が必要になることが多いです。早期の診断と治療が機能回復の鍵となります。腱板断裂はリハビリでの回復が期待できることがありますが、アキレス腱断裂では部分断裂であることは稀で、多くの場合手術療法になります。
打撲は、転倒や衝突などにより身体の一部を強く打ちつけた際に、皮下組織や筋肉、血管が損傷して起こります。スポーツや日常生活で頻繁に見られる外傷の一つです。
打撲部位に痛みや腫れ、内出血(青あざ)が生じ、押すと痛みが増します。関節周囲では動かしにくくなることもあります。
初期は安静・冷却・圧迫・挙上(RICE処置)を行い、腫れや痛みを抑えます。症状が強い場合や骨折が疑われる場合は、整形外科での診察が必要です。経過観察と適切なリハビリで回復を促します。
挫創は強い圧迫やこすれにより皮膚が裂けたり擦りむける傷で、切創は鋭利なもので皮膚が切れる傷です。どちらも外傷や転倒、刃物などによる怪我が原因です。
挫創は皮膚がぱっくりと割れたり、表面が赤くなり、痛みや出血が伴います。切創は傷口がはっきりと見え、出血が多いこともあります。感染のリスクがあるため注意が必要です。
傷口を清潔に保ち、必要に応じて消毒や縫合を行います。抗生物質の内服や予防接種(破傷風など)も検討されます。
以前は傷は毎日消毒することが推奨されていましたが、現在では、傷の消毒は元気な細胞も壊してしまうと言われて避けられつつあります。できるだけ傷は消毒せずに、水か薄い石鹸水でバイキンや汚れを流し落とすことを重要視しています。傷のガーゼ交換なども、消毒よりも新たにくっついた汚れや前回塗りつけた軟膏を洗い落として、新しいガーゼに交換することが進められています。さらにはガーゼに軟膏を塗ることで保湿効果を高めることが有効な場合もあります。そうはいっても、時には消毒が必要となることもあるため、これらの判断は医師にご相談ください。
感染症状(赤くなる、痛みが強くなる、腫れてくる、汚い水がでてくるなど)があれば早めの受診が重要です。
骨折は、転倒や交通事故、スポーツなどで骨に強い力が加わり、骨が部分的または完全に折れることを指します。骨粗鬆症などで骨が弱くなっていると骨折のリスクが高まります。
激しい痛み、腫れ、変形、動かせない、骨のきしむ音がすることがあります。
骨のずれを整えた後、ギプスや装具で固定し安静を保ちます。ずれが大きい場合、今後ズレる可能性が高い場合は手術が必要です。治癒後はリハビリで機能回復を目指します。
歩きにくさは、関節の変形や筋力低下、神経障害、脊椎疾患、電解質異常、ホルモン異常など多くの原因で起こります。加齢や外傷、慢性的な運動不足も関係します。
歩行時にふらつきや痛み、足のしびれ、力が入りにくい感じが現れます。症状が進むと転倒のリスクも高まります。
整形外科的には手足の神経の通り道や背骨をレントゲンやエコー、MRIで確認します。関節の痛い場所や筋肉の力の張りにくい場所を探し出して原因を探ります。他の科では神経内科的な評価や内分泌科的な評価が必要になることがあります。
整形外科的な原因に対しては、薬物療法やリハビリ、装具の使用、場合によっては手術が行われます。早期診断と適切な治療で歩行機能の改善を目指します。
生活のしづらさは、上記の歩きにくさの他に、手や腕の関節痛や筋力低下、神経障害、慢性疾患などが原因で、日常動作に支障をきたすことがあります。加齢や外傷も影響します。
服の着脱や歩行、階段の昇降などが困難になり、痛みやしびれ、疲れやすさを感じることがあります。症状が進むと自立生活が難しくなる場合もあります。
整形外科的には手足の神経の通り道や背骨をレントゲンやエコー、MRIで確認します。関節の痛い場所や筋肉の力の張りにくい場所を探し出して原因を探ります。他の科では神経内科的な評価や内分泌科的な評価が必要になることがあります。
整形外科的な原因に対しては、薬物療法やリハビリ、装具の使用などで機能改善を図ります。必要に応じて手術も検討され、早期の対応が生活の質向上につながります。
力が入らない原因は、筋肉の損傷や神経障害、関節の疾患、電解質異常、ホルモン異常、脳や脊髄の問題など多岐にわたります。疲労や栄養不足も一因になることがあります。
手足の筋力低下や動かしにくさを感じ、日常動作が困難になることがあります。場合によってはしびれや感覚異常を伴うこともあります。
整形外科的には手足の神経の通り道や背骨をレントゲンやエコー、MRIで確認します。関節の痛い場所や筋肉の力の張りにくい場所を探し出して原因を探ります。他の科では神経内科的な評価や内分泌科的な評価が必要になることがあります。
原因に応じてリハビリや薬物療法を行い、必要に応じて整形外科や神経内科での専門的な検査・治療が行われます。早期診断が重要です。
足のグラグラ感、不安定感は、関節の痛みや変形、神経障害、筋力低下などが原因で、安定した足の位置が保てないことから生じます。靴の合わなさやバランス感覚の低下も影響します。
歩行時や立っているときに足の位置が定まらず、不安定感やふらつきを感じ、転倒のリスクが高まります。
まずは、不安定感の原因が骨の形や筋力の低下なのか、足の使い方に異常があるのか、などの原因を探ります。レントゲンで足周辺の骨の形に異常がないか調べ、エコーで腱の状態や炎症を確認します。
原因に応じてリハビリやインソール、装具療法、靴の調整を行い、バランス機能の改善を目指します。症状によっては専門的な診断と治療を必要とする場合があります。
筋肉がつりやすくなるのは、筋疲労や水分・電解質の不足、血行不良、神経の異常などが関係します。加齢や長時間の同じ姿勢も原因になります。
筋肉が突然強く収縮し、痛みや違和感を伴います。特にふくらはぎや太ももで起こりやすく、夜間に起こることもあります。
電解質異常や筋肉の酵素を血液検査で確認します。腰椎からくる神経障害が原因のこともあり、腰椎の神経や足から足部の神経の確認を行うこともあります。
内服では漢方薬が主流となります。普段の生活でも十分な休息や水分補給、ストレッチ、お酒を減らすなどが基本となります。理学療法で腰や足部の治療を行います。
手足のしびれは、神経の圧迫や損傷、血行不良、糖尿病などの全身疾患が原因で起こります。頚椎や腰椎の病変も頻度が高い原因です。
ピリピリ・チクチクとした感覚や感覚の鈍さ、場合によっては筋力低下や運動障害を伴います。症状が進むと日常生活に支障をきたします。
首や腰、脊椎のレントゲンやMRIで神経の状態を確認します。手足に原因があることもあり、レントゲンやMRIの他にエコーで神経の状態を確認することもあります。
原因に応じて薬物療法やリハビリ、装具の使用が行われます。重症の方や改善が見られない場合は手術が検討されることもあります。
疲れやすさ、加齢や筋力低下、貧血、心肺機能の低下、栄養不足、電解質異常、ホルモン異常、睡眠障害などが原因で起こります。整形外科的には、関節や筋肉の疾患も影響します。
少しの運動や日常動作で疲労感が強くなり、持続的なだるさや体力の低下を感じます。
まずは疲れやすさの原因のお話を聞くことから始まります。一日のうち、いつ疲れやすいのか、何をしている時に疲れやすいのか、他の病気があるのかなどです。血液検査等行い電解質異常や貧血等がないか、確認していきます。
原因に応じて運動療法や栄養管理などで症状の改善を図ります。
筋肉疲労は、長時間の運動や過度な筋肉使用により、筋肉内に疲労物質が蓄積し、酸素や栄養が不足することで起こります。休息不足や不適切なフォームも影響します。
筋肉のだるさや張り感、力が入りにくい感じ、動かすと痛みを感じることがあります。運動後に現れ、休むと改善します。
だるさ、疲れやすい、という症状と重なるところが多いですが、脊椎などからくる神経疾患であることがあるため、症状によっては脊椎の検査を中心に行います。
休息と適切なストレッチが基本です。温熱療法やマッサージも効果的です。慢性的な場合は運動指導や生活習慣の見直しが必要です。
むずむず脚症候群は、脚に不快な感覚が生じ、じっとしていられなくなる病気です。特に夜や安静時に症状が強くなり、脚を動かすことで一時的に楽になります。多くの場合、睡眠障害の原因となります。症状は個人差があり、「むずむず」「チクチク」「かゆい」など様々に表現されます。40歳以上の方に多く、遺伝や鉄不足、妊娠、腎疾患、糖尿病、パーキンソン病などとの関連も指摘されています。
診断には特別な検査が必要なわけではなく、症状や病歴から診断されることが多いです。鉄分や貧血、電解質異常の確認のために血液検査を行い、腰椎などからくる神経の障害の可能性があるため腰椎の検査などを行います。
治療の目的は、症状の緩和と生活の質の向上です。
生活習慣の改善
鉄剤補充
(フェリチンが低い場合)
薬物療法
(症状が強い場合)
症状の程度に応じて治療方針が決まりますので、まずは医師にご相談ください。
整形外科では、首、肩、腰、膝、足といった体のさまざまな部位に生じる「痛み」を診療します。日常生活の中で感じる痛みの多くは、筋肉や関節、骨、神経などの運動器の異常によって生じるものです。これらの痛みは、けが(外傷)によるものだけでなく、加齢や使い過ぎ、姿勢のくずれ、筋力の低下など、さまざまな要因が関係しています。
「痛み」と一口にいっても、その性質はさまざまです。例えば、「鋭くズキズキするような痛み」「重だるい痛み」「動かすと出る痛み」「夜間に強くなる痛み」「しびれを伴う痛み」などがあります。こうした痛みの背景には、関節の変形や神経の圧迫、筋肉や腱の炎症など、複数の要因が重なっていることも少なくありません。時間的な要因もあり、朝が特に痛い、夕方になるとだんだん痛みが強くなるということもあります。
痛みは身体の異常を知らせる重要なサインです。しかし、長く続くことで、睡眠障害や気分の落ち込み、活動量の低下を招き、生活の質(QOL)を大きく損なうこともあります。整形外科では、まず問診や診察を通じて、痛みの部位・強さ・発症時期などを詳しくうかがい、必要に応じてX線やエコー、MRI、血液検査などの検査を行い、原因を特定します。
治療法は、原因や痛みの性質によって異なります。湿布や内服薬、注射などの薬物療法、電気治療や運動療法などのリハビリ、装具やサポーター、インソールの使用、必要に応じて手術を行うこともあります。また、再発防止や生活指導も含め、患者さん一人ひとりに合わせた包括的な治療を提供することが整形外科の特徴です。当院では手術は行っておりませんが、これまで数多くの総合病院で手術を行ってきた経験を元に、手術に関しても患者さんの状態に合わせたご提案をいたします。
「年だから仕方ない」「ずっと我慢しているから慣れた」と痛みをあきらめていませんか? 早期に適切な対処をすることで、日常生活の負担を大きく減らすことが可能です。当院では、丁寧な診療を心がけ、皆さんの健康な毎日をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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