
首の痛み
首の痛み
朝起きたら「首が動かない」「振り返れない」そんな経験はありませんか?寝違いは、朝起きたときに首に強い痛みや動かしづらさを感じる急性の筋肉・筋膜の炎症です。睡眠中の無理な姿勢や冷え、筋肉のこわばりが原因で起こります。よくあるトラブルですが、痛みが強い場合や繰り返す場合には、他の疾患が隠れていることもあります。
痛みが強い場合は、湿布や内服薬で炎症を抑えます。当院では、首の状態を確認したうえで、必要に応じて超音波治療や姿勢改善のアドバイス、運動器リハも行います。ほとんどは数日〜1週間ほどで自然に回復しますが、症状が長引く場合は他の疾患の可能性があるためMRIなどで精密検査を行います。
頚椎捻挫は、交通事故や激しいスポーツなどで頭部や顔面を強く打ったり、不意に頚部に強い力が加わったりすることで発生します。首を固定している筋肉や靱帯、神経・血管などを損傷してしまうことが主な原因です。すぐに痛みが生じることもありますが、数時間から数日経過してから症状が出現することもあります。首の痛みや首が動かないといった障害のほか、頭痛、首から背中にかけての痛みやコリが主な症状です。ひどいときは、めまいや耳鳴り、手のしびれ、吐き気、倦怠感など全身に症状が現れることもあります。頚椎捻挫の多くは一部分の軽い症状にとどまり、処方や物理療法で早期に軽快します。症状が強い場合でも通常であれば数週間以内で治癒します。症状が強い場合には長引くことがあるため、早期から理学療法やエコー下の注射などで痛みの軽減を図ります。慢性的に症状が残るものや、受傷後数日してから症状が出現してくるものの中には、受傷時の衝撃で交感神経や筋肉の異常、関節の機能障害を起こしていることがあります。また、頚椎椎間板ヘルニアという頚部痛や神経痛を伴う疾患であることもあります。頚椎捻挫は、たとえ軽症であっても、受傷したら早めに画像診断や治療を受けることが大切です。
加齢変化に伴って頚椎(脊椎の首の部分)や椎間板が変形すると、頚部周囲に痛みやしびれ、こり感などの局所症状が現れることがあります。これらを変形性頚椎症と総称し、この変形のために、脊髄(せきずい)が圧迫されている場合を頚椎症性脊髄症、脊髄から枝分かれする神経(神経根)が圧迫されている場合を頚椎症性神経根症と呼びます。神経根症は、最近ではスマホや姿勢の悪さのためか若い人にもしばしば見られる疾患です。
頚椎症性神経根症は、首、肩から腕や手にかけて痛みやしびれが出現します。片側だけに症状がでることが多く、重症の場合、筋力低下を起こして力が入りにくくなることもあります。首や肩の痛み、手足のしびれのほか、箸が使いにくい、ボタンが留めにくいといった手指の動作が困難になることも特徴的です。多くは、安静と内服薬で改善するため、手術が必要となることはまれです。
頚椎症性脊髄症の症状は、上記の神経根症の症状以外に、足がふらつく、もつれる、転倒しやすい、階段の昇降時に手すりが必要になるというものがあります。重症となると膀胱直腸障害(排便やおしっこの障害)が生じます。足の症状や膀胱直腸障害が出現するほど重症になると、手術治療が必要となり、頚椎の椎弓形成術(後方除圧術)や前方固定術などが検討されます。
脊椎(頚椎)の骨と骨の間には椎間板という円形状の線維軟骨があり、衝撃を吸収したり、脊椎を安定化したりする役割を担っています。この椎間板の組織が変性し、中身が突出して脊髄や神経根を圧迫してしまう病気が頚椎椎間板ヘルニアです。腰椎の椎間板ヘルニアもあるのでご参照ください。脊髄が圧迫されると首、肩、腕の痛みのほか、手足にしびれが生じ、重症では下半身にもしびれや麻痺、排尿排便障害を来すこともあります。これらの症状は変形性頸椎症と似たものとなります。治療方針も同様で、痺れや痛みであれば保存療法を行います。ヘルニアのでっぱり自体は自然治癒することは少ないですが、症状は安静、薬剤やリハビリで改善が期待できます。薬物療法や頚椎を支える装具療法を行い、物理療法、ストレッチなどのリハビリで苦痛の軽減を図ります。一方で、下半身にもしびれや麻痺、排尿排便障害が生じた場合には手術を検討します。
肩こりは、首のつけ根から肩や背中にかけて、張り・コリ・痛みといった症状があり、頭痛や吐き気を伴うこともあります。原因には「連続して長時間同じ姿勢をとる」、「首・背中が緊張するような姿勢での作業」、「前かがみ・猫背など姿勢が悪い」、「運動不足」、「精神的なストレス」などが挙げられます。
肩こりは予防が大切です。同じ姿勢を長時間続けない、肩を温めて(蒸しタオル・ホットパックなど)筋肉の血行を良くする、適度な運動や体操をする、入浴で身体を温めてリラックスする、といったことを心がけて、しっかり予防しましょう。同じような効果を物理療法や運動療法・リハビリテーションで専門的に行うこともできます。肩こりの一部は、高血圧症、眼疾患、頚椎疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状として起こるものもありますので、肩こりでお悩みや不安があれば気軽にご相談ください。
圧迫骨折とは、主に背骨(脊椎)の骨が潰れるように変形し、強い痛みや姿勢の変化を引き起こす骨折の一種です。特に高齢者や骨粗鬆症を持つ方に多く見られ、軽い転倒や日常生活の動作でも発生することがあります。胸椎や腰椎に発生しやすく、放置すると背中の曲がり(円背)や、日常生活の質の低下につながる可能性があります。若い方でもスノーボードなどのスポーツで尻餅をつくように転倒したり、腰や背中を強く曲げた時に骨折することがあります。
圧迫骨折の主な症状としては、
などが主に見られます。
圧迫骨折は、骨粗鬆症の方や転倒・重い荷物を持ち上げたことによる負担等で起こる場合があります。中には、癌の骨転移によって圧迫骨折が生じる場合があります。
背中や腰の痛みを感じたら、放置せずに相談することをおすすめします。
脊椎(頚椎)の骨と骨の間には椎間板という円形状の線維軟骨があり、衝撃を吸収したり、脊椎を安定化したりする役割を担っています。この椎間板の組織が変性し、中身が突出して脊髄や神経根を圧迫してしまう病気が頚椎椎間板ヘルニアです。脊髄(神経の大本の束)が圧迫されると首、肩、腕の痛みのほか、手足にしびれが生じ、進行すると下半身にもしびれや麻痺を起こします。ペットボトルのキャップが開けにくい、ペンで字が書きにくい、ハシを使いにくい、ボタンやチャックが閉めにくいなどの症状がでてくると症状の悪化と言えます。さらに重症となると転倒しやすくなり、排尿排便障害を来すこともあります。自然治癒することは少なく、急速に重症化することもあるため除圧術や固定術などの手術で、ヘルニアを含む損傷した椎間板を切除して圧迫を取り除きます。
一方、神経根(脊髄から枝分かれした神経)が圧迫されている場合、左右いずれかの首、肩、腕に痛みやしびれ、麻痺が生じますが、多くの場合、手術をせずに数カ月で回復します。その治療では、薬物療法や神経ブロック療法、頚椎を支える装具療法を行い、温熱療法、ストレッチなどの運動器リハで炎症や痛みの軽減を図ります。
後縦靱帯骨化症(OPLL)と黄色靱帯骨化症(OLF)は、脊椎の靱帯が骨のように硬くなる病気です。
これにより、脊髄や神経が圧迫され、手足のしびれや運動障害などの症状が現れます。進行すると、歩行困難や排尿障害を引き起こすこともあります。
後縦靱帯骨化症は主に首(頚椎)に、黄色靱帯骨化症は胸椎に発生しやすい傾向があります。
主に下記のような症状が見られることが多いです。
症状が重度の場合には、手術が必要な場合があります。早期発見・治療がとても重要ですので、気になる症状がありましたら受診しましょう。
腰への負荷によって椎間板の外側(線維輪)が傷つき、椎間板の中身であるゼリー状・グミ状の髄核(ずいかく)が、後ろや横に飛び出してしまう病態を腰椎椎間板ヘルニアといいます。突出した部分(ヘルニア)が神経を圧迫し、腰やでん部、下肢にしびれや痛み(坐骨神経痛・大腿神経痛)が起こります。背骨が横に曲がって、動きにくくなったり、重いものを持ち上げたときに強い痛みを伴ったりすることもあります。幅広い世代で発症します。発症の要因には、腰に過度な負担がかかる重労働や激しいスポーツ活動が挙げられますが、加齢による椎間板の脆弱化、遺伝的要素、喫煙との関連性も指摘されています。
治療では、強い痛みがある時期はコルセットを装着して安静を心がけ、消炎鎮痛剤、坐薬、神経ブロック(炎症を抑える薬剤の注射)などで痛みを緩和します。痛みが軽くなれば、運動器リハを行います。これらの保存的治療を2~3カ月行っても症状が改善しない場合や、痛みをすぐに取り除きたいといった場合には手術が選択されます。手術では、椎間板から飛び出して、神経を圧迫している髄核を取り除きます。近年では、MED(内視鏡下椎間板摘出術)やPED(経皮的内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術)といった内視鏡による低侵襲手術も広く行われるようになっています。また、髄核に薬剤を直接注入する椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)という治療法もあります。
腰痛の多くは、腰椎に負担がかかることで起こりますが、以下のような病気が背景になってる場合もあります。安静にしていても痛みが軽くならない、あるいは悪化する、発熱がある、しびれて力が入らない、といった症状を伴う場合は、放置せずに整形外科を受診してください。
背骨(せぼね)は、椎骨(椎体、椎弓)とそれをつなぐ椎間板、黄色靭帯などで構成されており、その内側には脊髄の神経が通る管状の脊柱管があります。腰部脊柱管狭窄症は、加齢や重労働などによって椎間板や椎骨が変形したり、黄色靭帯が肥厚したりすることで、脊柱管が狭くなり、中の神経が圧迫される疾患です。腰や足の痛み、しびれなどの症状が起こります。腰椎の代表的な疾患で、高齢の方に多くみられます。圧迫される神経の場所によって痛みやしびれなどの現れ方が異なりますが、特徴的な症状として間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。安静時には症状は軽く、しばらく歩くと、でん部、太もも、下肢に痛みやしびれ、こわばりが生じて歩行が困難になります。前かがみになったり、腰かけたりして休むと症状が軽減しますが、再び歩き出すと症状が繰り返し現れるというものです。脊柱管狭窄が進行すると排尿・排便障害が起こることもあり、その場合、手術が必須となります。
急性期で痛みが強い時には、コルセットを装着し安静を保ちます。薬物療法では神経周辺の末梢血管を広げて血流を改善する薬剤や神経痛を抑える薬剤を用いて症状の改善をめざします。運動器リハや神経ブロックなどを行うこともあります。このような保存的治療を数カ月行っても改善がみられず、日常生活に支障が出るような場合には、手術を検討します。
仙腸関節炎とは、骨盤にある「仙腸関節」が炎症を起こし、腰やお尻、太ももに痛みを引き起こす疾患です。
仙腸関節は、上半身の重みを支え、歩行時の衝撃を吸収する重要な役割を担っています。炎症が進行すると、慢性的な腰痛や動作時の違和感が生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。診断が難しいことがあり、腰に異常がないと言われたのに腰痛がある時に仙腸関節の痛みが原因のことがあります。
仙腸関節炎は主に
上記のような症状がみられます。
軽度の症状の場合には、ストレッチや鎮静剤・消炎剤による痛みの緩和治療を行います。重度の場合にはブロック注射を行い、炎症を抑える治療があります。
見落とされることもしばしばあるため、よくわからない腰痛などがある場合は気軽にご相談ください。また、症状が続くと慢性化するため、早期の診断と治療が重要です。
TOP